クラウゼヴィッツやトゥキュディデスの本などを読みながら国際ニュースを読み解きます。

2009年12月アーカイブ

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1990年代初頭より長らく米国の方が高かったLIBOR(London inter-Bank Offered Rate)が大きな節目を迎えています。


LIBORは、ロンドン銀行間出し手金利と訳され、資金の出し手が借り手に提示するものです。一般的にLIBORの市場参加者数は非常に多く、歴史も古いため短期資金の調達コストの指標として国際的に信用されています。


まずは2009年8月24日に3か月物、9月7日に4カ月物、10月29日に5か月物が逆転し6か月物も時間の問題かと考えられていました。


では11月後半の流れを見てみましょう。


11月16日、バーナンキFRB議長は、米経済は「なお重大な試練に直面している」と発言し、低金利の長期化を示唆。


11月17日、6か月物の日米逆転。


11月19日、経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長が「日銀は強い姿勢でデフレと戦うべきだ」と発言。


11月20日、政府のデフレ宣言。


12月1日、日銀追加緩和策発表。(グラフ青のライン、つまり日本3か月物の金利が急に下落しているのが観察できます。)


6か月物の金利は、グラフでは緑(米国)、紫(日本)で表示されています。グラフでは11月16日の軸付近で逆転が起こりました。米国は、金融危機後の膨大な資金供給を受け、金利が非常に低くなっています。危機後の対策として銀行間の金利を低くすることがFRBの目標となっていたところから、現在のLIBORの流れは続くのではないかと考えられます。


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次にチャートを見ていきましょう。6か月物のLIBORで日米が逆転した11月17日周辺から急激に円高が進み、12月1日の日銀の追加緩和策発表周辺からドルが買い戻されている様子がうかがえます。


本日、バーナンキFRB議長が講演会を開くことから、大幅に改善した雇用統計を受け、出口戦略を予想より早く模索し利上げも予想より早いのではないかという見方が急速に広まりました。


しかし、消費者物価、卸売物価は前月比ではプラスになりつつあるものの、前年比ではまだマイナスが続いており、もうしばらく金融緩和を続けるのではないかと考えられます。


世界恐慌の発生を防ぐという観点から、ドルを大量に市場に供給してきた議長は、引き締めるべきときとそうではないときの判断を慎重に行うのではないかと予測され、ここから考えれば、今は引き締めを行い市場の熱を再び冷ますようなことはないのではないかというのが、私の予測です。


最後に、次の式を見ておきましょう。


実質金利=名目金利-期待インフレ率


現在日米ともにデフレ傾向にあり、名目金利よりも実質金利の方が高くなっています。つまり、期待インフレ率を引き上げ、実質金利をより低く引き下げられるほうが、景気対策上好ましいという状況です。


ここからも、しばらく金融緩和が続き、マネーの供給を急激には絞らないだろうという予測のほうが理にかなっているのではないかと考えています。