クラウゼヴィッツやトゥキュディデスの本などを読みながら国際ニュースを読み解きます。

2008年12月アーカイブ

『原油価格の行方 - 中東情勢』シリーズ → | (5) | (4) | (3) | (2) | (1) |


以前の記事では、原油価格を見るときのポイントを大まかに5つほど列挙しました。


(1)国際情勢(特に中東)

(2)OPECの産出量・在庫↑→ 原油価格↓

(3)天気(暖房油の需要)・・・寒い → 原油価格↑

(4)産油国におけるストライキ → 原油価格↑

(5)突発事件・天災地変 → 原油価格↑



今回は、(1)国際情勢(中東)についての内容です。


12月19日、中東ガザを実効支配するハマスとイスラエルの停戦合意の期限が切れ紛争が激化しています。今回の紛争は中東情勢に深く関わる米国の政権移行期に行われ、イスラエルの内政状態、イスラエルと周辺諸国との関係等広範な影響を与えています。


最近のニュースを読んでいると、中東への関心は最終的には


①アメリカあるいはイスラエルによるイラン空爆はあり得るのだろうか?

②それがアラブ諸国との全面戦争につながるのだろうか?


という部分に絞り込まれます。


②が中東が完全に不安定になる予想の一つで、そこから各分析家が各種条件等を考慮しそこまではいかないだろうという予想を立てているわけです。


つまり、中東のみに絞ると、


「イスラエルとイランの関係」


が中東情勢を見る時のポイントです。


では、さらに視野を広げてそれぞれの後ろ盾を見ていきましょう。


●ロシア・上海協力機構⇔米国(対立)

●イスラエル←米国(支援)

●イラン←ロシア(支援)


ロシアは2008年8月のグルジア紛争においてグルジアが利用していたイスラエル製兵器を破壊し、それを見た湾岸協力会議諸国(GCC:サウジ・クゥエート等6カ国)はロシアからの武器購入を要請したという情報があります。ロシアはイランの原子力開発を支援し、イランとシリアに対し対空ミサイルを売却するというニュースが出ています。事実上の核保有国とみられるイスラエルはイランが防空能力を高めることに反発しています。


それに対し、アメリカはイスラエルに対し、現在ではNATO諸国と日本にのみに適用している「核の傘」を提供するというオバマ次期政権の意向が伝えられています。これに対しイランの核兵器保有を認めないイスラエル政府は、「核の傘」の提供はイランの核保有を前提にしている可能性があり、イスラエル単独でイラン空爆を計画しているグループからは一部反発が出ているようです。


では、非常に複雑な中東情勢を今後どのように占えばいいのか・・・いろいろ切り口はあるでしょうが、やはり「アフガニスタン」がキーワードになるのではと考えています。オバマ次期米国大統領がイラクからアフガニスタンへ重心を移すと発言しているからです。


見方1:地理的にイスラエルとアメリカを中心としたアフガニスタン駐留軍に挟撃される。→イランが不利。


見方2:アフガニスタンに駐留することになる膨大な兵力の補給線がイランと補給線近くに勢力があるタリバン勢力により圧迫されアフガニスタン駐留軍が非常に危険な状態に陥る。また、アフガニスタンを取り囲むような位置にある上海協力機構諸国が陰に駐留軍の活動を妨害する可能性がある。→イラン有利。


見方3:パキスタン経由の危険な補給線だけでなく、ロシア経由でアフガニスタンへの補給をする必要が生じ、対立してきた米国はロシアとの関係改善が必要になる。→イランが有利。


見方4:状況が不利になったイスラエルはアフガニスタンのイラン側を支援するため単独でイラン空爆。


いずれにしても2009年の国際情勢は引き続き非常にキナ臭い話がたくさん出てきそうで、投資家の心理は国際情勢という要素から見た場合、原油価格を引き上げる方向に向くのではないかと考えられます。