2010年1月アーカイブ

第3部第8章 数の優位 (参照)

決定的な戦闘では、相対的に優位になるようにすることが戦略の第1原則だった。

ここで考察するべき要素は以下のようなものである。

  • 各国軍隊の兵器、装備、訓練
  • 軍隊の勇気・戦意

①各国軍隊の兵器、装備、訓練

  • 現在(1800年代前半)は、どの国(ヨーロッパ)もあまり違いはない。他の要素が同じ水準だから、兵員数の比率が重要だ。(国民・軍隊との文化的水準と一致せず運次第である最高司令官の能力は例外←しかし『戦争論』では非常に重要な要素となっている。)
  • その都度・精確に兵員数を推測するような会戦では兵員数に余裕がある方が勝利する。現在では、2倍の敵に勝利するような会戦は見当たらない。


②軍隊の勇気・戦意(劣勢の程度による場合分けがなされている)

  • しかし軍全体の兵員数は最高司令官にとってはすでに与えられたものだから、劣勢でも戦争が不可能だということにはならない。
  • 著しい劣勢の場合、特殊な戦法を採用すべきだ。その場合、目標を限定し戦闘期間を短くすべきだ。目標を限定し、効果的な戦闘・慎重・自制の効果を最大限活かすべきだ。
  • それも不可能で非常に追い込まれた状態になると、絶望的な一戦に兵員の緊張は集中し、精神の優越に望みを託すことになる。極度に大胆な行動が最高の賢明さと受け取られ、思い切った詭計も採用されることになる。
  • 最終的には、名誉ある敗北をし、来るべき復活への権利を国民に残すまでのことだ。(ここまで来ると政治の領域では様々な工夫があると思われます。)
これまでの4章で

  • 危険(第1部第4章)
  • 肉体的な困苦(第1部第5章)
  • 情報(第1部第6章)
  • 摩擦(第1部第7章)
についてみてきた。これらはすべての軍事的な活動の障害となるため、(第1部第7章でみた摩擦より広い意味で)「一般的な摩擦(障害)」とみなすことができる。

これらの障害が戦争の雰囲気を作り、この雰囲気が戦争における活動を妨害する。

この妨害の中で軍事的な活動を遂行していくには関係者全員が戦争に習熟し、慣れる必要がある。そうすることで、どんな時も冷静に判断できる気質が備わっていく。

では、どうすればいいのだろうか?鍵となるのは、戦闘経験である。平時の演習では実戦と同じ経験を得ることは到底できないが、以下のような方針で演習を行えば、単なる技術を磨く演習と比べればはるかに有益なものとなりうる。

①演習(身体よりもむしろ精神を慣らす目的で。)
  • 障害の1つでも再現できるような形で。
  • 判断、手落ちなく行き届いた準備をしているか、決断力等を試せるような形で。
  • 非常に重い負担がかかってきた時、人は積極性を失うが、さらにこの負担を上層部のせいにし余計落胆してしまうため、実戦では常にそういうものだ理解する経験を積むため。

②実戦経験者から学ぶ
  • 他国から実戦において大きな功績をもつ将校を顧問として呼ぶ。
  • (代案として)自国の将校のいくらかを戦地に派遣して戦争の実態を学ばせる。
彼らは軍全体から見れば非常に小さなグループである。彼らを高い地位に就かせることができなくても、経験や洞察、円熟した性格は部下や同僚に大きな影響を与え、国は彼らをガイドとみなし、不測の事態の際には意見を求められるような者となるだろう。

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