2009年12月アーカイブ

戦略は、戦闘が行われる場所、時間、戦力を決める。戦闘は戦術に沿って行われる。戦略は、勝敗にかかわらず戦闘の結果を戦争目的のために利用する。

 

戦闘において戦力の量というものをどのようにとらえるべきか考える。

 

①戦力

戦略の第1原則 : 決定的場所・時間に出来るだけ多くの軍を投入すること。

 

その前提(2つある) :

A.軍隊全体の規模

  • この著しい優越によって多くのことを達成できるという確信が必要で、この確信が戦争計画に影響を及ぼす。というのが正しい道筋。(これは政治の領域で働く人々が持たなければならない意識だと思われます。)
  • しかし、軍隊全体の規模は政治の領域で決定されるため、ほとんどの場合、最高司令官は軍隊の規模を変えることのできない与えられたものとして受け取る。そのため、軍全体の規模ではなく、決定的な場面で相対的な優位を得られるように努力しなければならない。

 

B.戦闘力を利用する能力

たとえば・・・

  • 場所に関する正確な判断
  • 決定的な場面を迎える前に戦闘力を失ってしまわないよう適切に行動したり、方針を定めること
  • 決定的な場面を迎える前に様々な細かい事態に目を奪われ、その対処のために戦闘力をその都度割いてしまいがちであるが、このようなことに惑わされず戦闘力を統一しておくという堅い決断。

これらの能力が高くなければならない。

 

 A、Bによって重要な場面で戦闘力をどれだけ集中できるかが決まる。

 

②戦闘が行われる場所・時間について

 ①から、時間・空間についての的確な判断こそ勝敗を決定する要因だと考えるかも知れない。確かに時間・空間はすべての基礎だが(確かに重要だけれども・・・)、勝敗を決めるすべてではない。過大視するべきではない。

 

むしろ、勝敗の決定は・・・

  • 敵について正確に判断できるか
  • 一定期間、少ない戦闘力で敵と向かい合うことができるか(前衛や陽動のことだろうか?)
  • 味方に通常より厳しい行程を課し、それを実現できるか
  • 敵を急襲する大胆さを持ち合わせているか
  • 危険を目前にしても怯えず(通常私たちは怯えて何もできない・・・)、逆に以前よりも強力な行動がとれるかどうか

というようなことに左右されている。これが時間・空間を正確に判断できる能力だけが勝敗を決めているわけではないという根拠である。

 

③まとめ

しかし上記の議論は、戦闘力が劣っているからと言って戦闘してはいけないということを示したものではない。戦闘を実施するかしないかは、全体と様々な要素との関係を考慮して判断することで、別のことである。

 

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「第5章:戦闘力 - 第3章:敵味方の兵力の比率」を参照

●1編1章11・25、6・8参照、軍事行動の停止に関する部分

この章では、作戦計画を立てる当たって、あらかじめ大まかな戦争の様子を正確に把握することが大切だと書かれています。


 第1編1章27においても、似たようなことが書かれています。(国際関係とは? - 3月10日


 そして、戦争の激しさの度合いにおいて2つの対照的な事態を念頭に置いています。注意点は、この2つはどちらも「現実の戦争」だということです。(1章1編-「現実の戦争」の2つの方向性


①絶対的戦争に近い場合
②絶対的戦争からは程遠い場合


 クラウゼヴィッツは、①の戦争をナポレオンが行った戦争を例に話しています。そして、②の戦争をフリードリッヒ大王が行った戦争を参考にしています。


 これらを参考にして、「どんな戦争になるのか」という見通しを考える際の視点として、「どんな結果になるのか」という部分を重視して論を進めます。そして、①・②ではちょっと戦争についての見方が違ってきます。


①絶対的戦争に近いと見積もった場合、「戦争の結果」をどうみるのか?

 絶対的戦争に近い場合、すべての軍事行動の目標は「敵の戦闘力を完全に破壊すること」に向かい、それを達成するために使われる手段はほぼ戦闘だけになってくるとクラウゼヴィッツは言います。1つ1つの戦闘の価値は、この「敵の戦闘力を完全に破壊する」という部分との関連でしか評価されません。途中の経過は意味がない結果がすべてだということになります。双方がこの目標を持っている場合です。


 絶対的戦争にはならないだろうと思って戦争を始めたところ、相手は本気で自国の戦闘力の壊滅を狙っていた場合は大変なことになります。幼い子供が、飛んできた蜂を純粋な気持ちで、「何だろう?」と思って触ってみたところ刺されて大変な目にあった・・・これがスズメバチだったらどうなったことか・・・なんていうたとえがぴったりかもしれません。


 クラウゼヴィッツは、先ほどのたとえ話で言うと子供の立場から物事を考えています。スズメバチからではありません。その例として、1805年のプロイセンとフランス、1806・1809年のオーストリアとフランス(どちらもナポレオンとの戦争)を例に話しています。


 さて、この第3章Aでは、戦争に巻き込まれる国の数以外、具体的にどのように相手の意図を見積もるかについては書かれていません。ただし、先ほどのたとえ話では子供の立場から見ているという前提と純粋に戦争というものを考えた時は戦争というものは危険なものだという第1編の結論から、どんな戦争だと見積もっても絶対的戦争を頭から消し去ってはいけないと主張されていると考えられます。

  • 1編1章5、1編6章

 

 ①になると見積もった場合、はじめの一歩を踏み出す時から、しっかりとした目標を立てて、見失ってはいけないという結論になっています。


①絶対的戦争からは遠いと見積もった場合、「戦争の結果」をどうみるのか?


 絶対的戦争から程遠い場合、ある戦いが起こったからといって直ちに報復は行われません。国民の感情は、何らかの原因で高ぶらず、それに伴って政府の政治的意図も小さいままです。または、政府の政治的意図が小さいので、国民の感情も高ぶりません。双方がこう考えているという前提です。


 こうなってくると、お互いのある出来事に対する反応は非常に鈍くなってきます。たとえ報復があっても、それは極端に言うと「忘れた頃」に行われそうです。軍事的行動は長い間停止しています。


 この場合、1つの戦闘における結果をどのように考えるか?


 この場合、「ポイント制」のようなものになるとクラウゼヴィッツは言っています。前の戦闘における結果におけるポイント、次の戦闘におけるポイント・・・それぞれは互いに何の関係も無く、「総合点」のようなものを争っていると考えていいはずです。


 緊張が弱いので、1つの戦闘がすぐに報復を呼ばず長い間固定化されるという「時間」が理解の鍵だと考えられます。


 ②になると見積もった場合、様々な利益をばらばらに求めてもよく、それ以外はその都度その都度かんがえればいいという結論になります。ただし、絶対的戦争という考えを本来危険な戦争においては忘れていいはずもなく、②の結論は、その時その時の周囲の状況にあわせ①を修正するという場合にだけ使用されるとクラウゼヴィッツは書いています。

  • 1編1章10

 

まとめ
●①・②は、濃淡のようなもので片一方だけというものではなく、混ざっている。
●①→「戦争とは何か?」という考察によって出てきた結論(理論)から演繹的に考え出した「戦争の結果」についての見方。
●②→歴史を研究することによって(経験)、得た結論

 

参照

●4編3章

これら3つの用語はよく使用されているが、誤解のないように、さらに明確にしておきたい。厳密に定義することは出来ないが、用語の重点がどこにあるかをはっきりさせておきたい。この用語を使って計画・行動を勧告するときに役立つだろう。

1.戦域

【例】第2次世界大戦時、アメリカの戦争には太平洋戦域(PTO: Pacific Theater of Operations)、地中海戦域(MTO: Mediterranean Theater of Operations)、欧州戦域(ETO: European Theater of Operations)というようにいくつかの大きな区分があった。

全戦争が行われている空間の一部分。

それは

①境界がある
  • 要塞
  • 自然の障害
  • 他の部分とその戦域がかなり隔たっている・・・などによって。

②全戦争空間の一部ではあるものの、ある程度独立している。
  • 他の空間で生じている変化がその戦域にどのような形で影響を及ぼすか?それが直接的なものではなく、間接的であればあるほど独立した戦域として判断できるだろう。


2.軍

現実には状況によって完全に達成されているわけではないが、基本的に①同じ戦域に存在し、かつ、②司令権が統一されている(最高司令権の存在)戦闘力のこと。

一つの戦域における戦闘力は軍団・部隊(corps)には分けることができても、いくつかの軍(armies)に分けることはできない。

3.戦役

  • 西暦~年というような区分より、戦域に注目して軍事的な出来事を区分したほうがいいだろう。
  • しかし、戦域に注目した区分もかなり雑なのが現実であり、結局「~年の戦役」というようなやり方になる場合も認められなければならないだろう。

以下のような観点から戦闘力を考えていきたい。

  1. 兵員数、編成
  2. 戦闘力の状態(戦闘時以外)
  3. 補給、維持
  4. 土地・地形と戦闘力の関係(個別的なものではなく、どの状況でも見いだせるもの)

 

ここでは戦闘ではなく、戦闘時に必要な戦闘力について考えていく。戦闘力は、戦闘と密接な関係があり、互いに影響しあっているため、戦闘に関する議論の際には、頻繁に取り上げられるだろう。ただこのように両者を捉えるとしても、まず取り掛かりとしては、それぞれ特有な性質を持つ別々なものとして説明されなければならない。

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